バイクのブレーキに「エア噛み」が起きると、ブレーキのコントロール性が悪くなります。
よく言われるのが、「ブレーキがやわらかくなる」「ブレーキが軽くなる」といった症状です。
このような症状がある場合は、ブレーキフルードの「エア抜き」が必要になります。
今回は、ブレーキフルードのエア抜きの方法について解説していきましょう。
- 【目次】
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バイクのブレーキの「エア噛み」「エア抜き」とは?
バイクのブレーキフルード(ブレーキオイル)は、油圧式ブレーキを作動させるための圧力伝達媒体のことです。
ブレーキをかけたときに効率良く力を加えて制動するために、ブレーキフルードは欠かせないものです。
このブレーキフルードにエア(空気)が入ってしまうことがあります。
この状態がいわゆる「エア噛み」です。
ブレーキフルード劣化とともに徐々に沸点が下がっていく性質があります。
沸点が下がると沸騰・気化しやすくなり、ブレーキフルードにエアが混入してしまうのです。
また、ブレーキフルードを交換したときにエアが入り込んでしまうケースもあります。
このような原因でブレーキフルードにエア噛みが起きると、気泡によってブレーキ圧が吸収されるため、ブレーキのコントロール性が低下してしまいます。
症状としては、よく「ブレーキがやわらかくなる」「ブレーキが軽くなる」と言われます。
ブレーキレバーを握ったときの抵抗が弱く、奥まで握れてしまったり、ブレーキレバーがグリップと接触してしまったりする場合は、エア噛みが起きている可能性が高いです。
エア噛みが起きると、最初は「ちょっとブレーキの効きが悪いな」と感じる程度ですが、重度になるとブレーキが効かなってしまうこともあります。
このようなエア噛みによるトラブルを避けるためにおこなうのが、ブレーキフルードの「エア抜き」です。
バイクのブレーキフルードのエア抜きをする方法
ブレーキフルードを新品に交換をすれば、同時にブレーキブルードに混入したエアも抜けます。
そのため、通常、ブレーキフルードのエア抜きはブレーキフルードの交換と同時におこないます。
バイクのブレーキフルード交換に必要なもの
バイクのブレーキフルードの交換に必要なものは以下のとおりです。
新しいブレーキフルード
基本的にはメーカー指定の純正品を使いましょう。
メガネレンチ
ブレーキキャリパーに付いているブリードスクリュー(キャリパー内部のフルードを排出するパーツ)を緩める・締めるのに使います。
基本的には8mmですが、車種によっては10mmの場合もあります。
プラスドライバー
リザーバータンクのフタを開けるのに使います。
透明のゴムホース
ブリードスクリューの先端に付けて、古いブレーキフルードを排出するのに使います。
排出されるブレーキフルードの色を見て、新品と入れ替わったかどうかを判断するため、ゴムホースは透明のものをご用意ください(新品のブレーキフルードは透明ですが、劣化したブレーキフルードは茶色になります)。
なお、ゴムホースの径は、ブリードスクリューの径より1mm細いものがおすすめです。
これは、ブレーキフルードを交換しているときに、ブリードスクリューとゴムホースの隙間からエアが入り込むのを防ぐためです。
ワンウェイバルブ
オイルなどを一方向へ流し、逆流を防止するためのパーツです。
数百円程度で購入できます。
空のペットボトル
排出される古いブレーキフルードを受けるのに使います。
バイクのブレーキフルードの交換手順
バイクのブレーキフルードの交換手順は以下のとおりです。
STEP01:車体を水平にする
ブレーキフルードの液面を水平にするために、バイクの車体を水平にします。
センタースタンドがない場合は、メンテナンススタンドを用意しましょう。
STEP02:リザーバータンク周辺を養生する
ブレーキフルードは塗膜にダメージを与えます。
誤って車体に付着しないように、リザーバータンクの周辺を養生しておきます。
STEP03:リザーバータンクのフタを緩める
プラスドライバーでリザーバータンクのフタを緩めます。
リザーバータンクのネジはなめやすく、固着している場合も多いので要注意です。
「押す力7:回す力3」くらいで緩めましょう。
STEP04:リザーバータンクのフタを外す
リザーバータンクのフタを外すと、その下に「ダイヤフラム」と呼ばれるゴムのパーツが付いています。
ダイヤフラムも外して、汚れない場所に置いておきましょう。
STEP05:ブリードスクリューにゴムホースをセットする
ブレーキキャリパーに付いているブリードスクリューのゴムキャップを外し、ワンウェイバルブを付けたゴムホースを差し込みます。
ホースの逆側にはペットボトルを取り付けましょう。
また、ブリードスクリューにメガネレンチをかけておきます。
STEP06:ブリードスクリューを緩める
メガネレンチを回してブリードスクリューを緩めます。
半回転くらいでOKです。
STEP07:ブレーキレバーを「握る・離す」を繰り返す
ブレーキレバーを「握る・離す」を繰り返すことで、新しいブレーキフルードをキャリパー側へ送り込み、古いブレーキフルードを押し出す形で交換していきます。
これを繰り返していると、リザーバータンクからブレーキフルードが減り、ブリードスクリューからエア(気泡)とともに古いブレーキフルードが出てきます。
このとき、リザーバータンクが空になるとエアが入り込んでしまうので要注意です。
リザーバータンクのブレーキフルードが残り3分の1程度になったら、注ぎ足しましょう。
ゴムホースを見ていてエアが出てこなくなり、ブレーキフルードの色が透明になったら、ブレーキフルードのエア抜き・交換が完了したサインです。
STEP08:ブリードスクリューを締める
メガネレンチでブリードスクリューを締めて、ゴムホースを抜き、ゴムキャップを装着します。
STEP09:規定量までブレーキフルードを入れる
リザーバータンクに規定量までブレーキフルードを入れ、ダイヤフラムを戻してフタをしたら終わりです。
ブレーキフルードのエア抜き・交換が終わったら、ブレーキレバーを握って手ごたえを確認しましょう。
ブレーキタッチが向上しているはずです。
なお、エア噛みの症状がなくても、バイクのブレーキフルードは2年に1回は交換するようにしてください。
上述の交換手順はフロントブレーキを前提にしていますが、リアブレーキの場合も同様です。
違うのはリザーバータンクの位置と、リアブレーキを操作する点くらいです。
必要な工具類も同じなので、前後同時に作業してしまいましょう。
ブレーキのエア抜きをショップに依頼する場合の工賃
バイクショップにブレーキのエア抜きを依頼する場合、通常は、ブレーキフルードを交換することになると思います。
工賃は、ブレーキキャリパー1つにつき1,500円~3,000円が相場です。
フロント・リアの両方で3,000円~6,000円程度を見ておきましょう。
なお、バイクの構造によっては工賃が高くなるケースもあります。
まとめ:エア抜きをマスターして安全なバイクライフを!
バイクのブレーキ系統のトラブルは、最悪の場合、命に関わります。
「最近、ちょっとブレーキタッチが悪いな」「ブレーキの感触がやわらかいな」と感じたら、ブレーキフルードのエア抜き・交換をしましょう。
ブレーキフルードの交換に限らず、バイクのメンテナンスは屋根のある広々としたスペースでおこないたいものです。
ご自宅にガレージなどのスペースがない方は、ぜひアイドゥのバイク駐車場をご利用ください。
屋内型の駐車場で一つひとつの区画が広く、工具を置ける棚もあるので、落ち着いてメンテナンスをしていただけます。
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