従来、新車で買ったバイクは「慣らし運転」が必要だとされていましたが、最近のバイクは高性能化していることもあり、「慣らし運転は必要ない」という声も聞かれます。
しかし、バイク本来の性能を発揮させ、長く乗り続けたいのであれば、慣らし運転をしたほうが賢明です。
そこで今回は、バイクの慣らし運転の目的・効果や、慣らし運転の方法などについて解説していきます。
当ページの内容については、お客様のためのお役立ちコラムとして連載しておりますが、当社はバイクパーキングの運営会社ですので、ページ内容に関する個別対応はいたしかねます。
慣らし運転とは?
慣らし運転とは、新車でバイクを購入していきなりエンジンや車両に負荷をかけるのではなく、一定の走行距離に達するまで控えめに運転することを言います。
新車バイクの「準備運動」というイメージです。
バイクに限らず工業製品は、新車・新品の状態だとトラブルが起こりやすく、時間の経過とともに故障率が低くなっていくという性質があります。
バイクの場合は特に、振動や温度変化など過酷な環境にさらされるため、初期の段階で大きな負荷がかかると、パーツそのものやパーツ相互の干渉に変化・変形が起きてしまうことがあります。
特に、エンジンなどの金属部分は細かいバリ(加工する際に発生する出っ張り)があるため、いきなり高回転で走行すると金属が大きく削れる原因になります。
慣らし運転をすることで、パーツ同士を徐々に馴染ませることができます。
そのため、エンジンの動きがスムーズになるほか、各パーツの寿命を延ばすことにもつながります。
バイクの慣らし運転の目的・効果
バイクの慣らし運転の大きな目的は、エンジンをはじめ車両全体を慣らすことで初期トラブルのリスクを低減することです。
具体的には、以下の3つの目的があります。
エンジンのパーツ同士を馴染ませる
バイクのエンジン内部では金属のパーツ同士が擦れ合っています。
激しく擦れ合えば接触面は荒くなりますが、ゆっくり擦れ合えば接触面はなめらかになります。
慣らし運転の目的の一つは、エンジンに無理なく負荷をかけてパーツ同士を適度に擦り合わせることで接触面をなめらかに仕上げることです。
なお、パーツ同士が擦れ合うことで金属の削りカスや微細なバリがエンジンオイルに混ざるため、初回点検時のオイル交換、オイルフィルター交換は非常に重要です。
タイヤの皮むき
バイクの新品のタイヤは、表面にすべりやすいケミカルがコーティングされているため、いきなり急加速や急ハンドルをするとスリップしてしまうリスクがあります。
タイヤが本来のグリップ性能を発揮するためには表面のケミカルを落とす必要があり、これをタイヤの「皮むき」と言います。
タイヤの皮むきをして路面に馴染むようにするためにも、慣らし運転は重要です。
ネジの初期緩みを確認する
新車のバイクは、走行すると振動などによって各部のネジが緩むことがあります。
いわゆる「初期緩み」と呼ばれる現象です。
ネジの初期緩みを確認するのも、慣らし運転の目的の一つです。
初期緩みは初回点検の項目にも含まれているため、緩んでいれば初回点検時に締め直します。
逆に、慣らし運転をしても緩まないネジは、その後も緩む可能性は低いと言えます。
バイクの慣らし運転の方法
バイクの慣らし運転は「一定の走行距離に達するまで控えめに運転すること」ですが、具体的には、どのくらいの距離まで、どのようなことに気を付けて走行すれば良いのでしょうか?
Kawasaki(カワサキ)のWebサイトを見ると、慣らし運転について以下のように説明しています。
(400cc以上のバイク)
最初の1,000kmを走行するまでは、下表のエンジン回転数以下で慣らし運転をしてください。
慣らし運転を行うと車の性能を維持し寿命を延ばします。
走行距離 | エンジン回転数 |
---|---|
0から350km | 4,000rpm |
350から600km | 6,000rpm |
600から1,000km | 控えめな運転 |
アドバイス
- 必要に応じて一時的に制限回転数を超えることは問題ありません。
- 不必要な空吹かし、急加速、急減速はつつしんでください。
- 法定速度を守って走行してください。
※参考:慣らし運転について | 株式会社カワサキモータースジャパン
バイクの慣らし運転の距離は、Kawasakiの説明にもあるように「1,000km」が目安になります。
そう聞くと、「さっさと1,000km走ってしまおう」と考える方もいるかもしれませんが、数日で1,000kmを走り切るのではなく、何日もかけて走ることでエンジンを「温める・冷やす」を繰り返したほうが、慣らし運転の効果が高まります。
慣らし運転は、数週間~1ヶ月程度かけておこなうのが良いでしょう。
バイクの慣らし運転中は「急」が付くことをしない
バイクの慣らし運転中は、「急」が付く操作を避けるのが原則です。
「急発進」「急加速」「急停止」などの操作はエンジンや車両に大きな負荷がかかるため、できるだけソフトな操作を心がけましょう。
バイクの慣らし運転中は回転数を抑えて走る
バイクの慣らし運転中は、回転数をレッドゾーンの半分以下に抑えるべきだと言われます。
レッドゾーンが12,000rpmであれば、6,000rpm以下の回転数で走るということです。
なお、Kawasakiの説明にもありますが、瞬間的に指定回転数を超えてしまっても問題はありません。
バイクの慣らし運転中は段階的に回転数を上げる
バイクの慣らし運転中は、Kawasakiの説明にもあるように段階的に回転数を上げていくのがポイントです。
エンジンへの負荷を徐々に上げていったほうが、慣らし運転の効果が高まります。
バイクの慣らし運転中はまんべんなくギアを使う
バイクの慣らし運転は「ゆっくり走ること」だと考えている人もいますが、それは違います。
低速ギアばかり使っていると高速ギアが馴染みません。
慣らし運転中は、適切にシフトチェンジして各ギアをまんべんなく使うようにしましょう。
バイクの慣らし運転中は空ぶかしをしない
バイクの慣らし運転中は、ニュートラル時にアクセルを開けるなどの空ぶかしは避けましょう。
なお、バイクの車種によって慣らし運転の方法は異なります。
詳しくは取扱説明書をご確認ください。
バイクに慣らし運転は必要なのか?
現代は工業製品の加工技術が飛躍的に進歩しており、出荷時のバリはほとんどないと言われます。
そのため、新車のバイクでも「慣らし運転は必要ない」という声が聞かれます。
しかし、バイクメーカー各社は慣らし運転について説明・推奨しています。
Kawasakiの見解は上述のとおりです。
HondaとYAMAHAの見解も引用しておきましょう。
・Honda(ホンダ)
適切な慣らし運転を行うと、その後のお車の性能をより良い状態に保つことができます。
500kmを走行するまでは急発進、急加速、急ブレーキ、急なシフトダウンを避け、控えめな運転をしてください。
・YAMAHA(ヤマハ)
新車の使い始めには、ならし運転を行ってください。ならし運転の方法は、車種により異なります。
詳しくは取扱説明書をご確認ください。
慣らし運転をしないと必ず故障するわけではありませんが、慣らし運転をしたほうが性能を良い状態に保つことができ、初期トラブルのリスクを低減できるのは間違いないでしょう。
また、ライダー自身がバイクに慣れるという意味でも慣らし運転は重要です。
1,000kmくらい走ってみれば、新しいバイクが「どんな動き方をするのか?」「どんなクセがあるのか?」といったことが分かってきて、違和感なく乗れるようになってきます。
まとめ:バイクに慣らし運転は必要なのか?
慣らし運転は、新車のバイクのパフォーマンスを安定させるための「準備運動」です。
新車だからこそ、早く全開で走りたい気持ちは分かりますが、1,000kmまではその気持ちを抑えて慣らし運転に徹しましょう。
新しいバイクは慣らし運転も重要ですが、盗難対策も大切です。
新車は市場価値が高いうえに目立つので、盗難のリスクが高くなります。
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