大型バイクは半ヘルでOKなの?ヘルメットに関する法律・規格を知る

大型バイクは半ヘルでOKなの?ヘルメットに関する法律・規格を知る

バイクのヘルメットには様々なタイプ・形状のものがありますが、よく議論の的になるのが、いわゆる「半ヘル」です。
大型バイクに半ヘルで乗っている人を見かけることがあると思いますが、そもそも半ヘルで大型バイクを運転するのは違法ではないのでしょうか? 今回は、バイクのヘルメットのタイプや規格、また半ヘルが認められているのかどうかについて解説していきます。

【目次】

当ページの内容については、お客様のためのお役立ちコラムとして連載しておりますが、当社はバイクパーキングの運営会社ですので、ページ内容に関する個別対応はいたしかねます。

大型バイクは半ヘルで乗っていい!?

半ヘルとは、ハーフ型のヘルメットのことで「半キャップ」「半球形」「お椀型」などとも呼ばれます。
排気量が400ccを超える大型バイクに半ヘルで乗っている人を見かけることがあると思いますが、違法ではないのでしょうか?

バイクのヘルメットに関する認識はまちまちで、「原付は半ヘルでOK」「400cc以下のバイクなら半ヘルでOK」「大型バイクは半ヘルはNG」など考えている人もいると思います。
実は、これらはすべて間違いであり、バイクの排気量にかかわらず半ヘルで運転することが認められています。
結論としては、「大型バイクでも半ヘルで乗っていい(違法ではない)」ということになります。

道路交通法は、バイクに乗るときはヘルメットをかぶることを義務付けており、そのヘルメットは、内閣府令が定めた乗車用ヘルメットである必要があります。
内閣府令(道路交通法施行規則第九条の五)で定められている乗車用ヘルメットの基準は以下のとおりです。

  1. 1. 左右、上下の視野が十分とれること
  2. 2. 風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること
  3. 3. 著しく聴力を損ねない構造であること
  4. 4. 衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること
  5. 5. 衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること
  6. 6. 重量が二キログラム以下であること
  7. 7. 人体を傷つけるおそれがある構造で無いこと

細かく規定されているように見えるかもしれませんが、一つひとつを見るとそれほど厳しい規定ではありません。
衝撃吸収性や耐貫通性が求められていますが、具体的な数値で定められているわけではありません。
バイク用のヘルメットとして市販されているものであれば、半ヘルであってもこれらの基準をクリアしていると考えられます。
半ヘルで違法になるケースとして考えられるのは、あごひもがない場合や、割れているなどして明らかに衝撃吸収性が損なわれているような場合です。

バイクのヘルメットの規格

バイクのヘルメットにはいくつかの規格があります。
代表的なものは把握しておきましょう。

PSCマーク

消費生活用製品安全法で特定製品と定められている製品に付けられるマークです。
原則として、乗車用ヘルメットはPSCマークが付いていないと販売できません。
そのため、通常私たちが手にするヘルメットはこの基準をクリアして、PSCマークが付いているはずです。

SGマーク

一般社団法人 製品安全協会の基準をクリアした製品に付けられるマークです。
SGマークが付いたヘルメットは、製品の欠陥によって被害が発生したときに備えて対人賠償保険が付帯されています。
SGマークを取得するかどうかはメーカーの任意ですが、日本国内で販売されているヘルメットの大半にSGマークが付いています。

JISマーク(JIS規格)

日本工業規格(JIS)の基準をクリアした工業製品に付けられるマークです。

なお、PSCマークとJISマークは「125cc以下限定」と「排気量無制限」の二種類の基準があります。
125cc以下限定のヘルメットは、125ccまでのバイクを想定した強度で作られており、半ヘルは125cc以下限定に該当します。
しかし、半ヘルをかぶって400cc超の大型バイクに乗っても道交法違反には問われません。
125cc以下限定や排気量無制限という基準はあくまで業界内のルールであり、道路交通法とは無関係なのです。

バイクのヘルメットの規格

バイクのヘルメットのタイプ

バイクのヘルメットは、大きく以下の4つに分類できます。

フルフェイス

顔全体を覆うタイプのヘルメットで、顔やあご、側頭部や後頭部までをしっかりと守ってくれます。
他のタイプのヘルメットに比べ、視界が狭くなることや圧迫感があることがデメリットです。
なお、PSCマークやJISマークの基準では、排気量無制限のタイプになります。

ジェット

オープンフェイスとも呼ばれるヘルメットです。
フルフェイスからあごの部分の保護を無くした形状をしているので、そのぶん開放感があります。
なお、PSCマークやJISマークの基準では、排気量無制限のタイプになります。

セミジェット

スリークォーターズとも呼ばれるヘルメットです。
ジェットに比べると側頭部が短く、ジェットと半ヘルの中間に当たります。
なお、PSCマークやJISマークの基準では、125cc以下限定のタイプになります。

半ヘル

上述のとおり、ハーフ型のヘルメットです。
頭部を保護するお椀型の形状が特徴ですが、あごから側頭部にかけてはほぼ無防備です。
なお、PSCマークやJISマークの基準では、125cc以下限定のタイプになります。

安全性で言えば、「フルフェイス > ジェット > セミジェット > 半ヘル」という順番になります。

半ヘルで大型バイクに乗る危険性

半ヘルで大型バイクに乗っても問題はありませんし、高速道路を走行しても道路交通法違反にはなりません。
しかし、世間では白い目で見られることがあります。
というのも、やはり危険性が懸念されるからです。

半ヘルは軽量なので手軽にかぶることができ、夏場は涼しく快適です。
しかし、フルフェイスやジェットに比べると安全性に劣り、転倒したときのリスクは大きくなります。

警視庁の調査によると、2020年に都内で起きたバイク事故における「死亡事故を招いた原因となる損傷主部位」は「頭部」が50.0%となっており、過去5年の平均でも「頭部」が48.7%と約半数を占めています。
また、「二輪車乗車中死者のヘルメット脱落状況」は、過去3年間の平均で半ヘル(半キャップ型)が51.9%となっています。
つまり、半ヘルでバイク事故に遭って亡くなった方の過半数は、ヘルメットが脱げていたということです。

このようなデータからも、半ヘルは脱げやすく、頭部へのダメージが大きくなりがちで死亡事故につながる可能性が高いことが分かります。
特に、パワーのある大型バイクで高速道路を走る場合などは、半ヘルではあまりにも危険です。
フルフェイスやジェットなど安全性の高いヘルメットを着用するとともに、あごひもをしっかり締めることが重要です。

ヘルメットには寿命がある!?

ヘルメットは経年とともに、内部の衝撃吸収材などが劣化して本来の性能を発揮できなくなっていきます。
ヘルメットの寿命は製品によって異なりますが、5~7年が一つの目安です。

また、新品のヘルメットでも事故や転倒で激しく打ちつけた場合は交換すべきです。
なぜなら、一度大きな力が加わったことで衝撃吸収材が潰れ、衝撃を吸収できなくなっている可能性が高いからです。
もちろん、バイクのシートなどから落とした程度であれば問題はありません。

まとめ:ヘルメットに関する法律を守って楽しいバイクライフを!

バイクファッションの一部として、ヘルメットのデザイン性にこだわる人は多くいますし、走行中の快適性を気にする人も少なくありません。
しかし、ヘルメットの最大の役割は頭部を守ることである以上、重視すべきは「安全性」です。

「法的に問題ないのだから半ヘルでもいいでしょ」という考え方ではいけません。
特に大型バイクに乗る人は、フルフェイスやジェットなど安全性に優れたヘルメットを選ぶようにしてください。
どんなに快適でかっこいいヘルメットでも、万が一のとき、命を守れないようでは何の意味もありません。

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