近年、オークションサイトやフリマアプリが一般化したこともあり、バイクを個人売買する人が増えています。
しかし、個人売買はディーラーやバイクショップを通さないため、トラブルが起きるケースもあります。
なかでも多いのが、バイクの名義変更にまつわるトラブル。
バイクの個人売買を検討しているのであれば、売却する側も購入する側も名義変更に関する基礎知識は押さえておきましょう。
今回は、大型バイクにフォーカスして、名義変更の手続きや必要書類について解説していきます。
- 【目次】
当ページの内容については、お客様のためのお役立ちコラムとして連載しておりますが、当社はバイクパーキングの運営会社ですので、ページ内容に関する個別対応はいたしかねます。
大型バイクを個人売買する際は名義変更に注意!
大型バイクを個人売買した場合、名義変更の手続きが必要となります。
名義変更をする義務があるのは、買主(新所有者)です。
そもそも名義変更とは、車やバイクの所有者を変更する際に行う手続きのことで、正式には「移転登録」と言います。
車やバイクを譲り受けた人は、15日以内に名義変更の手続きをする必要があります。
しかし、正しく名義変更が行われないためにトラブルに発展するケースも少なくありません。
具体的には、税金に関するトラブルが多くなっています。
バイクを売ったのに納税通知書が届く!?
たとえば、2021年3月1日にAさんがBさんに大型バイクを売却したとします。
軽自動車税は、毎年4月1日時点での所有者(名義人)が納税義務者になるため、通常であれば2021年度の納税義務者はBさんになるはずです。
しかし、Bさんが名義変更の手続きを怠っており、2021年4月1日時点の名義人が変わらずAさんのままになっていると、Aさんに納税義務が生じてしまいます。
万が一、Bさんと音信不通になるなどして翌年以降も名義変更が行われなければ、毎年Aさんに納税通知書が届くことになります。
実際に、納税通知書が自分のところに届いて初めて、買主が名義変更をしていないことに気付くケースは多いようです。
ここまで見ると、バイクの名義変更が行われない場合、売主のリスクが大きいように思えますが、買主にもリスクはあります。
上述の例では、買主であるBさんには納税通知書が届かないため、Bさんは納税することができません。
納税通知書が届いたAさんも納税をせずにいると、Bさんは次回の車検を通すことができず、購入したバイクで公道を走ることができなくなってしまうのです。
大型バイクの確実な名義変更のために売主がすべきこと
大型バイクを個人売買した際、買主に名義変更を促すために売主ができることとしては、以下のような方法が挙げられます。
名義変更の手続きをしてもらってからバイクを引き渡す
買主に名義変更を促すため、名義変更が終わるまでバイクを引き渡さないようにするのも方法のひとつです。
バイクの名義変更手続きでは、売主・買主双方が用意すべき書類があります。
あらかじめ売主から買主に必要書類を渡して名義変更の手続きをしてもらい、名義変更が済んでからバイクを引き渡します。
預り金をもらう
売主が買主から一時的に預り金をもらうことで、買主に名義変更を促す方法もあります。
この方法では、買主が3万円程度の預り金を売主に渡し、名義変更が完了したら売主から買主に預り金を返却するのが一般的です。
当然のことですが、買主は名義変更の手続きをするまで預り金を返却してもらえません。
廃車(一時抹消登録)の手続きをする
売主がバイクを廃車(一時抹消登録)にしたうえで買主に引き渡す方法もあります。
一時抹消登録になっているバイクには税金が課せられないため、買主が名義変更をしてくれなくても売主にはリスクはありません。
ただし、一時抹消登録をするとナンバープレートを返納するため、買主にバイクを引き渡す際に公道を走ることができません。
車に積載したり仮ナンバーを取得したりして引き渡すことになるため、手間がかかります。
バイクの廃車手続きについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>> バイクの廃車マニュアル~必要書類から申請手続きまで~
大型バイクの名義変更の流れと必要書類
大型バイクの名義変更の流れと必要書類についてご説明します。
名義変更をする義務があるのは買主(新所有者)ですが、売主が用意すべき書類などもあるため、買主だけで手続きを進めることはできません。
STEP01:売主から必要書類を受け取る
大型バイクの買主は名義変更の手続きをするために、売主から以下の必要書類などを受け取る必要があります。
譲渡証明書 | バイクを譲渡したことを証明するための書類です。 書式は以下からダウンロードできます。 >> 譲渡証明書 >> 譲渡証明書(記載例) |
自動車検査証(車検証) | 車検証と譲渡証明書の住所・氏名に相違がある場合は、住民票の除票や戸籍謄本の附票が必要になることがあります。 |
自賠責保険証明書 | 自賠責の有効期限が残っている場合は、自賠責保険証明書が必要です。 |
ナンバープレート | 管轄が変更になる場合は、ナンバープレートを外して返納します。 |
納税証明書 | 納税証明書は不要な場合もあるため、事前に陸運局に確認しましょう。 |
STEP02:陸運局で名義変更手続きをする
買主は、買主の住所を管轄する陸運局(運輸支局・自動車検査登録事務所)に行って名義変更の手続きをします。
その際に買主が用意すべき必要書類などは以下のとおりです。
自動車検査証記入申請書(OCRシート第1号様式) | 自動車検査証記入申請書は陸運局で配布されています。 買主の記名・押印が必要です。 |
手数料納付書 | 手数料はかかりませんが、必要事項を記入して提出します。 陸運局で配布されています。 |
住民票 | 買主の住民票が必要です(取得後3ヶ月以内のもの)。 |
軽自動車税申告書 | 名義変更や廃車の手続きをする際に、軽自動車税を申告するための書類です(名義変更の手続きをする際に軽自動車税を納付する必要はありません)。 陸運局で配布されています。 |
印鑑 | 買主の印鑑が必要です(認印でOK)。 |
大型バイクの名義変更に関するQ&A
Q:大型バイクの名義変更の費用はどのくらいかかる?
バイク(251cc~)の名義変更によってナンバープレートが変わる場合は、以下の費用がかかります。
- ナンバープレート代:500~600円程度(管轄の陸運局によって異なります)
- 検査標章(ステッカー)を再交付してもらう場合の印紙代:300円
Q:車検切れしている大型バイクは名義変更できる?
車検が切れている大型バイクでも名義変更することができます。
買主(新所有者)は、実際にバイクを運転するタイミングで車検を受ければ公道を走ることができます。
Q:車検証を紛失した場合はどうすればいい?
251cc~のバイクは、車検証がないと名義変更の手続きができません。
車検証を紛失している場合は、ナンバーを管轄する陸運局で再交付してもらう必要があります。
車検証再交付手続きには、以下の書類が必要です。
OCR申請書 第3号様式 | 申請書は陸運局で配付しています。 |
手数料納付書 | 手数料納付書には、300円の自動車検査登録印紙を貼り付けます。 |
理由書 | 理由書は、車検証を返納できない理由を記入する書面です。 書式は以下からダウンロードできます。 >> 理由書(盗難の場合) >> 理由書(遺失・紛失の場合) |
身分証明書 | 窓口で手続きをする人の運転免許証などが必要です。 |
まとめ:すみやかな名義変更でトラブルのない取引を!
バイクの個人売買が一般的になっていますが、名義変更に関する知識がないとトラブルを招いてしまうことがあります。
正しい知識を身に付けたうえで、すみやかに名義変更をすることが大切です。
手続きに不安がある方は、名義変更の代行業者や行政書士に依頼するのもひとつの手です。
同じバイクを乗り継ぐというのは、ある意味、運命的な出来事だと言えます。売主も買主も、同じライダーとして気持ちの良い取引を心がけましょう。
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