バイクのプリロード調整とは、サスペンションのストローク量を調整することを言い、「イニシャル調整」とも呼ばれます。プリロード調整をすることでサスペンションを自分好みの硬さにすることができ、より快適な乗り心地を得ることができます。今回は、バイクのプリロード調整の基本的な仕組みやプリロード調整が必要なケースなどについて解説していきます。
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バイクのプリロード調整とは?
「プリロード」とは、バイクのサスペンションの初期荷重(最初からスプリングに加えておく力)のことです。この初期荷重を変えることでサスペンションのストローク量を調整するのが「プリロード調整」であり、「イニシャル調整」とも呼ばれます。プリロードを強めたり弱めたりすることで、サスペンションの可動域が変わるため、自分の体重や乗り方に合わせた好みのフィーリングを実現することができます。
プリロード調整を強めにすると?
プリロードを強めるということは、サスペンションの初期荷重を増やすということです。つまり、最初からスプリングが縮んでいる状態になり、大きな力が加わらないとサスペンションが沈み込まないようになります。そのため、乗り心地は硬くなります。
たとえば、体重が重いライダーは、強めのプリロード調整にすることで乗り心地を向上させることができます。また、タンデムするときや荷物を積載するときなども、プリロードを強めに調整するのが一般的です。
プリロード調整を弱めにすると?
プリロードを弱めるということは、サスペンションの初期荷重を減らすということです。つまり、最初からスプリングが伸びている状態になり、サスペンションが沈み始めるポイントが浅くなります。そのため、乗り心地はやわらかくなります。
体重が軽いライダーは、プリロードを弱めることで乗り心地を改善することができます。また、サスペンションのストローク量が増えるためタイヤの路面追従性が向上し、足付き性も良くなります。
バイクのプリロード調整が必要なとき
ライダーの体重が重すぎる・軽すぎる場合
国産のバイクは、平均的な体重のライダーを想定して出荷時の初期設定をしています。そのため、体重が平均を大きく上回る方や、逆に平均を大きく下回る方はプリロード調整をしたほうが良いでしょう。
体重が軽い方はサスペンションの動きを感じにくく、ギャップを越えるときなどに大きな突き上げを受けることがあります。そのため、プリロードを弱める方向に調整します。そうすることで、サスペンションがやわらかくなって路面追従性が高まります。
逆に、体重が重い方はブレーキをかけたときにサスペンションが沈み過ぎたり、ギャップを越えるときなどにサスペンションが底付きしたりするリスクがあるため、プリロードを強める方向に調整します。プリロードを強めるとサスペンションが硬くなって沈み込みが少なくなるため、底付きしにくくなります。
タンデムする場合
タンデムする場合は、バイクに2人分の荷重がかかり、特にリアサスペンションにかかる負荷が大幅に大きくなります。プリロードが一人で乗るときの設定のままだと、一気に沈み込みが深くなり、リアサスペンションが底付きして激しい突き上げが生じたり、カーブを曲がるときに外側に膨らみやすくなったりすることがあります。
このようなリスクを回避するため、プリロードを強めに調整します。そうすることで2人分の荷重に耐えられるようになり、快適なタンデム走行ができるようになるでしょう。
重い荷物を積載する場合
たとえば、キャンプツーリングに出かける場合など重い荷物を積載するときも、タンデム走行のときと同じ考え方でプリロードを強めに調整します。そうすることで、荷物を積載せずに乗っているときと同様の安定感で走行することができるはずです。
路面からの衝撃が気になる場合
大型バイクや海外メーカーのバイクは、プリロードが硬めにセッティングされているモデルもあります。そのため、人によっては街乗り程度でも路面の衝撃が気になったり、すぐにお尻が痛くなったりすることがあります。こうしたストレスを解消するには、プリロードを弱めに調整するのが良いでしょう。そうすることで乗り心地がやわらかくなるため、快適で疲れにくい走行ができるようになります。
バイクのプリロード調整のやり方
バイクのプリロード調整の方法を簡単にご説明します。基本的にはフロントもリアもアジャスターを回すだけで調整できますが、車種やサスペンションによって微妙な違いがあります。詳しい調整方法は、バイクの取扱説明書(オーナーズマニュアル)や、サスペンションを社外品に交換している場合は、その製品のマニュアルを参照してください。
①アジャスターを回す
バイクのプリロード調整をするときは通常、「フックレンチ」と呼ばれる工具を使います。フックレンチは、ほとんどの車種の車載工具に含まれています。サスペンションのバネの下側にあるアジャスターの溝にフックレンチを引っかけて回しましょう。
なお、リアサスペンションは、左右に1本ずつ取り付けられている「ツインショック(デュアルサスペンション)」と、スイングアームの付け根付近で1本でバイクを支えている「モノショック」があります。モノショックのバイクは、アジャスターが奥のほうの狭いところにあるのでアクセスしにくく、プリロード調整がしにくい場合があります。
ツインショックのバイクは、アジャスターにアクセスしやすいので容易に調整できるでしょう。当然のことですが、ツインショックの場合は必ず左右のプリロードを同じ設定にしてください。
②またがって変化を確認する
プリロード調整ができたら、一度バイクにまたがってサスペンションの沈み具合や足付きの変化を確認してみましょう。
③必要に応じて微調整する
確認したときにイメージしていたフィーリングと違った場合は、再びアジャスターを回してプリロードを微調整しましょう。
④走行して最終確認をする
最後に近場を走行して、乗り心地を確認しましょう。フィーリングに違和感があれば、再び③に戻って微調整を繰り返します。問題がなければプリロード調整は終了です。
まとめ
サスペンションの硬さはライダーの好みによるところが大きいため、プリロード調整も「これが正解」という設定はありません。実際にプリロード調整をして違いを感じながら、自分に合ったベストなセッティングを探してみましょう。
バイクのサスペンションに関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。
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